レコード針には寿命があります。以前は見られなかった音の乱れや音飛びが目立ってきたら、レコード針の交換が必要かもしれません。しかしレコード針の種類はとても多く、どんなタイプの針を選べば良いのかわかりにくいものですよね。
今回は、レコード針の交換時期を見極める方法からレコード針の選び方・探し方、そして交換方法までを詳しく解説します。劣化した針を使い続けるとレコードを傷付ける原因にもなるため、針の交換を検討している方はぜひチェックしてください。
レコード針の寿命とは
レコード針は消耗品であり、ある程度使い続けると寿命を迎えます。レコード針の寿命は針のタイプによって異なるので、タイプ別に見た寿命の目安をチェックしておきましょう。
<主なレコード針の寿命の目安>
・楕円針:150時間
・丸針:200時間
・無垢針(ダイヤモンド針):200時間
・シバタ針:400時間
・SAS針:500時間
寿命の目安は約150~500時間と、タイプによって大きな差が生じます。
寿命以外でレコード針の交換時期を見極める方法
前述のとおり、レコード針は150~200時間ほどで寿命を迎えますが、「どのくらい再生したかカウントしなかった」「中古で購入したから劣化の度合いがわからない」という方も多いでしょう。以下に、寿命以外でレコード針の交換時期を見極める方法をまとめましたので、交換を検討する前にチェックしてみてください。
<レコード針を交換すべきタイミング>
・音が悪くなってきたと感じたとき
・音飛びが目立ってきたとき
・先端に光を当てたときに反射が強くなったとき
ただし、音質の劣化や音飛びは、レコード針の劣化以外でも起こります。特に、以下のようなケースでも音質は劣化するといわれています。
<音質劣化・音飛びの原因>
・レコード針や盤面にホコリが溜まっている
・針圧が低い
・レコードプレーヤーが水平に置かれていない
焦って針を交換する前に上記の問題が起きていないかを確認しましょう。
レコード針を交換する前に!仕組みを理解しよう
レコード針を正しく交換するために、レコードの仕組みを理解しておいた方が作業を進めやすくなります。レコードが音を出すために欠かせないパーツが「カートリッジ」です。なかにはカートリッジと一体化したレコード針も存在するため、それぞれが果たす役割を知っておきましょう。
レコード針
レコード針は、言葉のとおりレコードプレーヤーの先端についている針そのもののことを指します。レコードの盤面には両面合わせて約2kmもの溝が刻まれていて、レコード針にはこれを読み取る機能があります。レコード針は小刻みに震えながら振動を拾い上げ、後述するカートリッジへと情報を送っているのです。
カートリッジ
カートリッジはレコード針を囲うようにして固定するパーツで、レコード針が集めた盤面の情報を電気信号に変換し、音を再生させる役割を持ちます。カートリッジはレコードにとって必需品であり、レコード針と一体になったタイプも存在します。カートリッジにも寿命はあり、時期が来れば交換する必要はあるものの、正しく使えば長期にわたって使い続けられるでしょう。
レコード針の交換方法
レコード針の基本的な交換方法を手順ごとにまとめました。
1 レコード針をカートリッジから取り外す
レコード針のプラスチック部分を指で軽くつまみながら、前方に向けてスライドさせましょう。これでカートリッジからレコード針の部分だけを取り外せます。
2 新しいレコード針をカートリッジに差し込む
レコード針の突起部分をカートリッジの溝に差し込みます。そのまま針の前方を押し上げて、パチンと音がするまではめ込みましょう。これでレコード針の交換は完了です。
交換する新しいレコード針の探し方
レコード針を店頭で見かける機会はほとんどなくなってしまいましたが、今でも新しいレコード針を購入することは可能です。交換の際は、メーカーが販売している純正品か、それとも互換するメーカー以外のレコード針かを選ぶ必要があります。それぞれの探し方をご紹介しましょう。
メーカー製レコード針を探す
レコード針はメーカーやプレーヤーによって針の形がそれぞれ異なり、互換しないレコード針を購入すると音楽を再生できません。まずは取扱説明書や本体からプレーヤー型式、カートリッジからモデル名を確認して、使用できる針の種類を特定しましょう。
ただし、ほとんどのメーカーではすでにレコード針の生産を終了しています。オークションサイトなどで見つかる場合もありますが、価格は高騰しがちなため注意が必要です。
対応するレコード針を探す
メーカーの純正品以外でも、使用しているレコードプレーヤーとの互換性があるレコード針を購入すれば音楽を聴くことができます。インターネットでは、型番を入力して検索するだけでメーカー製以外のレコード針が見つかるため、便利かつ安価なレコード針が見つかるでしょう。
交換する新しいレコード針の選び方
新しいレコード針を購入するためにインターネットで検索すると、たくさんの種類の針が見つかります。そのため、どれを購入すれば良いのかわからず、場合によっては間違った針を購入してしまうケースも少なくありません。ここからは、カートリッジから針の素材・形状別の特徴を紹介していきますので、どんなレコード針が自分に合っているのかをチェックしていきましょう。
①カートリッジの種類を選ぶ
レコード針と合わせてカートリッジも交換する場合は、「MM型」か「MC型」のどちらかを選ぶことが一般的です。双方の特徴とメリット・デメリットは以下のとおりです。
MM型
現在流通しているカートリッジの大半が「MM型(ムービングマグネット型)」です。メリットとデメリットをまとめました。
【MM型のメリット・デメリット】
メリット |
デメリット |
・構造がシンプルで針交換が簡単にできる ・量産しやすく価格が安い ・出力の変更にも対応できる |
・音質ではMC型よりも劣る場合がある |
カンチレバーという針と一体化しているパーツにマグネットが取り付けられていて、カンチレバーの動きに合わせてマグネットを振動させることで音を生み出します。安価なタイプから高級品までラインナップも幅広く、音の好みに合わせて好きな種類を選べることも特徴です。
MC型
MC型(ムービングコイル型)は製造や調整に高度な技術が必要で、高価になりがちなことから現在はあまり流通していません。MC型のメリットとデメリットを見てみましょう。
【MC型のメリット・デメリット】
メリット |
デメリット |
・クリアな音質が生まれやすい ・音切れしにくい |
・製造に手間がかかるため高価になりやすい ・専用のアンプが必要 |
カンチレバーにコイルが巻き付けられていて、後方部分に備えられたマグネットに反応して音を出します。音質を重視する人から愛用される傾向にありますが、専用のアンプが必要になるなど、コストがかかりやすいタイプです。
②針の素材を選ぶ
針の素材として用いられているのは主に以下の3種類です。
<主な針の素材>
・無垢針(ダイヤモンド針)
・接合針
・サファイア針
それぞれの特徴をご紹介します。
無垢針(ダイヤモンド針)
無垢針は全体がダイヤモンドで作られているため「ダイヤモンド針」とも呼ばれます。音の立ち上がりの良さに定評があるほか、高域を伸ばしやすいことが特徴です。
接合針
先端のダイヤモンドチップと、カンチレバーの間を金属で接合したレコード針で、「ポンテッド針」とも呼ばれます。無垢針と比べるとダイヤモンドの面積が少なくなるため安価ですが、その分重くなり、使用される金属によって立ち上がりの良さが異なることが特徴です。
サファイア針
ダイヤモンドよりも硬度が低いため加工しやすく、価格が安いことがメリットです。一方、摩耗が早く寿命が短いことがデメリットで、最近はあまり見かけません。
③針先の形を選ぶ
レコード針の先端部分は、大きく以下の4種類に分かれます。
<針先の形>
・丸針
・楕円針
・シバタ針(ラインコンタクト針)
・SAS針
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
丸針
世間に広く流通しているのが丸針です。音質としては低音に強く、安定感に秀でています。ボールペンのような形状をしており、盤面の溝に入り込みすぎないことも特徴のひとつで、DJが使用する針の大半が丸針です。
楕円針
前述した丸針の先端をつぶし、楕円形にしたものが楕円針です。音域に深く入り込めることが特徴で、これによって高域特性が向上しています。欠点としては、丸針と比べて先端部分が薄いため、摩耗が激しく寿命が短めになることです。
シバタ針(ラインコンタクト針)
CD-4型式にも対応することがシバタ針の特徴で、ラインコンタクト針の一種でもあります。再生周波数が幅広く、特に中高音がクリアに出やすいことや、メリハリが効きやすいことが特徴です。また、摩耗も少ない設計なので、寿命が長いこともメリットといえます。
SAS針
「Super Analog Stylus」の頭文字を取り、SAS、あるいはSAS針と呼ばれています。レコードに刻まれている溝と同じ形状の針であるため、レコードのポテンシャルを最大限に引き出せます。音質を重視したい方は、このSAS針を選ぶと良いでしょう。
まとめ
レコード針には寿命があり、定期的に交換しなければなりません。寿命の長さは針の種類によって異なり、約150~500時間です。レコード針を交換せずに放置していると、レコード盤そのものに傷がつく可能性が高まるため注意しなければなりません。
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