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音楽ジャンキー酔狂伝〜断捨離の向こうに〜第3話

花房浩一

10代から音楽にはまって、約半世紀で買い集めた音盤は数万枚。それを残して死ねるか!? と始めた断捨離に苦悶する、音楽ジャーナリスト・花房浩一の連載コラム、第三話。
絵筆とリコーダーを振りかざし、大宇宙の果てから音楽ジャンキーがやって来る?!

目指すは小林旭、プロレスラー、そして漫画家!だったのに…

 「あんたはなぁ、全然手のかからん、おとなしい子やってんでぇ」

 と、子供の頃、夏休みや冬休みに預けられていた岡山の叔母によく言われたものだ。がたいも声もでかくて、どこにいても目立つことこの上ない今の自分を知る人たちからは想像もできないだろう。が、幼少の頃と言えば、隅っこでずっとひとり静かに絵を描いているようなタイプだったそうな。

 なぜ「お絵描き」か? といえば、漫画に取り憑かれていたからだろう。小学生の頃、子供達を夢中にさせていたのは少年マガジン少年サンデーといった漫画雑誌。当時、「漫画なんて読んでないで、勉強しなさい」とか「読んでいるとバカになる」と、親や学校の先生からみそくそに言われていたにもかかわらず、それこそが子供達の世界を席巻していた。もちろん、数十年の後に漫画が日本文化の顔として世界に広まり、Mangaという言葉がそのまま使われるようになるなど、露ほども思われてはいなかった時代の話だ。

音楽ジャンキー、漫画家を目指す?

 そのおかげか、高校生になるまでは絵を描く才能に恵まれていたような。なにを描いても、小学校の図画工作(って呼んでいたのかしらん)とか、中学校の美術の先生が目を丸くして驚いていたのを覚えている。描いた作品が学校の壁に張り出されたり、あるいは、地方のコンクールで賞をもらったりってのも毎度のことだった。そういった才能に磨きをかけていったら今頃は画家やイラストレーターになっていたのかもしれないが、そうは問屋が卸さない。

 その一方で音楽ジャンキーになる萌芽は見られたか? 振り返ってもなかなか見当たらない。唯一思いつくのは小学校の音楽の時間で習った縦笛、リコーダーってヤツかしらん。なぜか、こちらも秀でていたようで、耳に入った音楽はなんでも吹くことができた。ひょっとして音感がよかったのかなぁ... と、想像するが、よくはわからない。いずれにせよ、貧乏人にもやっと手が届くようになった三種の神器と呼ばれた家電のひとつ、テレビが音楽への扉を開いてくれたんだろうと察する。

西部の荒野から大宇宙を突き抜けて耳に届いたアメリカンミュージック

 幼少の頃、親戚の家に預けられていた時にしか目にすることができなかったテレビが我が家にもたらされたのは1964年。東京オリンピックがきっかけだった。資料を見てみると、当時の小売価格が6万円前後で、サラリーマンの平均月収の2倍を超える。後にローンと呼ばれるようになる月賦で、数年をかけて買うことになったはずのここから一気に世界が広がっていくのだ。

 もちろん、モノクロでカラーではない。東京オリンピックの開会式が日本で初めてカラー放映されたらしいが、それを色つきで見ていたのはほんの一握りの大金持ち。それでもブラウン管のむこうには万華鏡のような世界がきらめいていた。

 叔母の家ではパンツのお古をもらっていた従姉妹の影響で歌番組に心ときめかせていたんだが、自宅ではヒーローものが中心だった。『ナショナルキッド』から『月光仮面』に『快傑ハリマオ』、『少年ジェット』... 番組のテーマ曲が聞こえてくると、半世紀以上前の作品だというのに歌詞が口から出てくるという摩訶不思議。それほどまでに影響力があったんだろう。それにアニメが続く。『鉄腕アトム』や『エイトマン』に『スーパー・ジェッター』なんぞに夢中になっていた。

 成長するにつれて、ここにアメリカのテレビ・ドラマの数々が加わってくる。コメディの『じゃじゃ馬億万長者』、『奥様は魔女』に『可愛い魔女ジニー』、母親が車になってしまったという『母さんは28年型』や馬がしゃべるお馬のエドくん』といった奇想天外なドラマもあった。西部劇では若き日のクリント・イーストウッドが主演する『ローハイド』やスティーヴ・マックイーンの『拳銃無宿』にチャック・コナーズの『ライフルマン』、ヴィック・モローがかっこよかった戦争もの『コンバット』に、アフリカ戦線の砂漠地帯を舞台にした『ラット・パトロール』などなど、アメリカ文化が茶の間を席巻していた時代だ。おそらく、その背後にはアメリカの政治的な戦略も絡んでいたんだろうと察する。

 その背景になにがあったとしても、誰もがメイド・イン・アメリカのドラマに熱狂し、後にハリウッドでリメイクされることになる名作の数々がこの頃続々と生み出されていった。SF系では『スタートレック』、ヒーローものでは『バットマン』に『スーパーマン』や『ターザン』、アクション系では後にトム・クルーズ主演で復活する『スパイ大作戦(原題がミッション・インポシブル)』や『ナポレオン・ソロ(原題:UNCLE=アンクル)』など。その他にも、音楽やバンドが主人公となったものに『ザ・モンキーズ』や『ザ・パートリッジ・ファミリー』というものもあったのだが、そういったTV番組を通して、洋楽と呼ばれる音楽に慣れ親しんでいたんだろう。

アメリカ産ドラマのレコードの数々

 ただ、実を言えば、子供向けのアニメのみならず、ウルトラマンといった特撮SFにアクション系の刑事ものなどのテーマ音楽をチェックしてみればいい。前述のアメリカ産ドラマで起用された音楽同様に、ジャズ、ロック、R&Bといった要素に満ちあふれた名曲をいくつも発見することができる。おそらく、そういった音楽が潜在的に音楽ジャンキーへの道に誘っていたのではないかと想像する。

補足:

 DJに人気のTVドラマ・テーマ曲のキラー盤といえば、まずはラロ・シフリンが作った「Mission Impossible(スパイ大作戦)」。オリジナルも、もちろん大人気だが、国内盤では日本語のナレーションで始まるヴァージョンも比較的容易に手に入るし、ザ・ヴェンチャーズによる便乗企画盤、あるいは、そっくりコピーしてビッグ・ビート・スタジオ・オーケストラというバンド名で国内制作したヴァージョンもそれなりに面白い。ハリウッドで映画がリメイクした時にはU2のアダム・クレイトンとラリー・ミューレン・ジュニアがコンテンポラリーなヴァージョンを作り、日本では世界に誇ることのできるDJユニット、UFOがブラジル風味を効かせた独特のヴァージョンを作っている。さらには、Randy's Allstarsによるレゲエ・ヴァージョンも要チェックです。

 クインシー・ジョーンズによる『鬼警部アイアンサイド』のテーマもDJには人気で、後に、泉ピン子がブレイクした『テレビ三面記事 ウイークエンダー』というゴシップ系ヴァラエティ番組で使われたせいもあるんだろう、比較的容易に安価で入手できる。が、安田南というジャズ・シンガーがカヴァーしたヴァージョンはレアなこともあって超高値で取引されている。チャンスがあれば、ぜひ聴いてほしい作品。

 


レコードシティ限定・花房浩一連載コラム【音楽ジャンキー酔狂伝〜断捨離の向こうに〜】は毎月第2・第4月曜日に更新です。

 


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花房浩一・音楽ジャンキー酔狂伝〜断捨離の向こうに〜


花房浩一

花房浩一

(音楽ジャーナリスト、写真家、ウェッブ・プロデューサー等)

1955年生まれ。10代から大阪のフェスティヴァル『春一番』などに関わり、岡山大学在学中にプロモーターとして様々なライヴを企画。卒業後、レコード店勤務を経て80年に渡英し、2年間に及ぶヨーロッパ放浪を体験。82年に帰国後上京し、通信社勤務を経てフリーライターとして独立。
月間宝島を中心に、朝日ジャーナルから週刊明星まで、多種多様な媒体で執筆。翻訳書としてソニー・マガジンズ社より『音楽は世界を変える』、書き下ろしで新潮社より『ロンドン・ラジカル・ウォーク』を出版し、話題となる。
FM東京やTVKのパーソナリティ、Bay FMでラジオDJやJ WAVE等での選曲、構成作家も経て、日本初のビデオ・ジャーナリストとして海外のフェス、レアな音楽シーンなどをレポート。同時に、レコード会社とジャズやR&Bなどのコンピレーションの数々を企画制作し、海外のユニークなアーティストを日本に紹介する業務に発展。ジャズ・ディフェクターズからザ・トロージャンズなどの作品を次々と発表させている。
一方で、紹介することに飽きたらず、自らの企画でアルバム制作を開始。キャロル・トンプソン、ジャズ・ジャマイカなどジャズとレゲエを指向した作品を次々とリリース。プロデューサーとしてサンドラ・クロスのアルバムを制作し、スマッシュ・ヒットを記録。また、UKジャズ・ミュージシャンによるボブ・マーリーへのトリビュート・アルバムは全世界40カ国以上で発売されている。
96年よりウェッブ・プロデューサーとして、プロモーター、Smashや彼らが始めたFuji Rock Festivalの公式サイトを制作。その主要スタッフとしてファンを中心としたコミュニティ・サイト、fujirockers.orgも立ち上げている。また、ネット時代の音楽・文化メディア、Smashing Magを1997年から約20年にわたり、企画運営。文筆家から写真家にとどまることなく、縦横無尽に活動の幅を広げる自由人である。

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